テレビの保護活動などを見ても、完全室内飼いのことはあまり触れられていません。
完全室内飼いとは、文字通り猫を室内で飼育することですが、だっこをして外にでたり、リードをつけて散歩するなどは完全室内飼いとは言えません。当会で保護猫を譲渡する場合は完全室内飼育を必須としています。その理由は次のとおりです。
●まず、放し飼いの場合、猫が交通事故に遭遇するリスクが格段にあがります。猫は新しい場所が苦手な生き物です。室内外に慣れた猫は知らない環境にさらされるとパニックを起こします。道路にも飛び出す危険性があります。
●ノミやダニなどのリスクがあります。猫だけの問題ではなく、猫がマダニをつけて帰ってきた場合、飼い主さんにマダニが寄生する可能性があります。万一マダニに噛まれると重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を起こす危険性があります。SFTSの致死率は10〜30%程度と非常に高いです。(厚生労働省サイトによる)
●ノミ・ダニ以外にもさまざまな感染症にかかるリスクがあります。猫白血病ウイルス感染症、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症、猫白血病ウイルス感染症、クラミジア感染症、トキソプラズマ原虫(寄生虫)などが代表的な感染症です。たとえ免疫力が高いうちは無症状で問題にならなくても、子猫や高齢の猫は生命に関わるリスクとなります。
●外猫に襲われたり、ハクビシンやイタチなど他の動物に襲われることがあります。子猫や弱っている猫はカラスに襲われることもしばしばです。
室戸市では、ご高齢の方が多く、昔からの習慣で、自由に外と内を行き来できる放し飼いにしている方が非常に多いです。猫にとってその方がストレスがないという意見もありますが、先ほど述べたように、放し飼いのリスクは非常に高く、寿命も短く終わることが多いです。
また脱走防止対策について、猫をこれまで飼った経験がある方に多いのは、今までの猫はあまり外に出たがらなかったから対策しなくてよい、と考える方がいらっしゃいます。しかし、保護猫を受け入れる際、慣れない新しい場所は多くの猫にとっては不安しかありません。少しの隙間からも猫は脱走してしまいます。下は脱走防止柵をすり抜ける当会の保護猫の様子です。
とにかく隙間を作らないこと、扉は2重にして備えること、網戸はロックをすることなどを当会の譲渡では重要視しています。
ご理解よろしくお願いいたします。